パリ・マドレーヌ寺院 恒久平和展
戦争のない世界の実現に向けて、アートにできること
2015年は、第二次世界大戦の終結から70年という節目の年に当たります。この戦争は1939年から6年間続いた、世界60カ国が参戦した史上最悪の戦争でした。フランスはヨーロッパにおける主戦場のひとつになります。ドイツの攻撃を受けたパリは、1940年6月に陥落。その後、1944年8月、連合軍によって解放されるまで占領され続けました。また、結果的に実行されませんでしたが、ヒトラーは解放直前にパリの壊滅指令を出します。もしこの命令が守られていたら、マドレーヌ寺院は今、存在していなかったでしょう。
第二次世界大戦の反省を糧に、戦後の世界は平和を築くための努力を進めてきました。しかし、いまだ各地で紛争が発生し、世界規模での恒久平和は訪れていません。政治や経済の力だけでは、平和な世界を実現するのは難しいかもしれません。そこでアートの出番です。人々の心に安らぎを与えるアートこそが、地球上に恒久平和を実現するための鍵かもしれません。
会 期 | 2015年7月10日(金)〜7月13日(月) 7月16日(木)〜7月19日(日) 7月22日(水)〜7月25日(土) 7月28日(火)〜7月31日(金) |
---|---|
会 場 | マドレーヌ寺院 サル・ロワイヤル |
総合監修 | アラン・バザール 〔フランス芸術家協会(ル・サロン)絵画部門代表〕 |
中世以来、世界の芸術の中心地として栄える“芸術の都”パリ。中心部には、世界屈指のミュージアムであるルーヴル美術館や世界最古の公募展ル・サロンの会場となるグラン・パレ、パリ市民の憩いの場チュイルリー庭園やコンコルド広場などが集まっています。ここは、地球上で最も芳醇な文化の香りが漂う地域。そのパリ中心部で、敬虔な祈りが捧げられる場所が、マドレーヌ寺院です。そしてここは、フランス政府による国葬が行なわれる、格式の高いカトリック教会でもあります。19世紀前半の建築であるマドレーヌ寺院の外観は、古代ローマを彷彿とさせる巨大なコリント式の列柱が特徴的。静謐な空間に立つマグダラのマリア像は、人々の祈りの象徴となっています。ルーヴル美術館が物質的な“美の殿堂”とすれば、マドレーヌ寺院は精神的な“美の殿堂”と言えるでしょう。
パリ・マドレーヌ寺院 祈りの美術展 結果報告
会 期 | 2014年7月9日(水)〜13日(日) 7月15日(火)〜19日(土) 7月21日(月)〜25日(金) 7月27日(日)〜31日(木) 8月2日(土)〜6日(水) |
---|---|
会 場 | マドレーヌ寺院 サル・ロワイヤル |
総合監修 | クリスチャン・ビエ 〔フランス芸術家協会(ル・サロン)名誉会長〕 |
芸術家が作品に込めた思いは《祈り》の精神に通じます。「パリ・マドレーヌ寺院 祈りの美術展」のテーマは《祈り》。このキーワードに縁の深いマドレーヌ寺院を会場とし、“全ての祈り”、“愛への祈り”、“平和への祈り”、“自然への祈り”、“自由への祈り”の5つのテーマで5会期に分けて作品を展観しました。パリ市民だけでなく、世界中からマドレーヌ寺院を訪れた観光客は、本堂と共にこの展示会場にも足を運び、熱心に作品を鑑賞。出展者が用意したPRファイルにじっくりと目を通す姿も見受けられ、日本のアートに対する関心の高さが感じられた約1ヶ月弱の会期でした。「素晴らしい展覧会だ。全会期にわたって訪れたい」と語る来場者も多く、深い感動と心に平穏をもたらした美術展となりました。
クリスチャン・ビエ氏からの総評
世界で最も美しいとされている街に自分の作品を展示したいと、意識下の最も奥深いところで夢見たことのないアーティストなどいるだろうか。歴史深いパリには、非常に多くの歴史的建造物が立ち並ぶが、そのうちの一つを麗人社は今回の美術と祈りの出会いのために選んだ。それは、シャンゼリゼ通りにつながるコンコルド広場を正面に据えた神聖なる場所であり、パリの精神性を象徴するエンブレムの一つであるマドレーヌ寺院だ。ナポレオン1世時代に考案された歴史ある展示スペースに、日本から来た170名近い日本人アーティスト達の作品が展示された。熱心な来場者から評価された高水準の作品が、堂々と誇らしく日本を映し出していた。祈りと平和への思いが今回の展覧会を導く糸となり、多彩な作品は、善と悪、平和、寛容への探求へと私たちを送り込んでくれた。この展覧会を是非継続したいものだ。